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制度を知る

医師の臨床研修制度

医師国家試験に合格し、医師免許を得た人が最初に歩む道が臨床研修です。医学部で学んだ知識を、実際の診療の場で使える力へと育てていく期間であり、医師のキャリアの出発点にあたります。

臨床研修とは

臨床研修とは、医師免許を取得した医師が、指定された病院で指導を受けながら実際の診療に携わり、医師としての基本的な力を身につけるための研修です。この期間の医師は「研修医」と呼ばれます。

ウィキペディア日本語版の「医師」の項目では、医師法の規定として、診療に従事しようとする医師は、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院、または厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならないと定められていることが紹介されています。つまり、臨床研修は法律にもとづいて医師に求められているものです。

必修化された制度

厚生労働省の医師臨床研修制度のページは、平成16年4月から必修化された医師の新しい臨床研修制度について紹介するものだと説明されています。それ以前にも卒業後の研修は行われていましたが、この必修化によって、研修の位置づけや内容が制度として整えられました。

同じページには、制度の見直しに関する通知や、研修医の採用実績、研修先を決めるためのマッチングの結果などが掲載されています。制度は一度つくられて終わりではなく、その後も見直しが重ねられ、研修病院の指定などにかかわる権限の一部を都道府県に移すといった変更も行われてきたことが、掲載されている通知の一覧からわかります。

研修で身につけること

臨床研修の大きな目的は、特定の専門分野に進む前に、医師として必要な幅広い基本的な診療の力を身につけることです。医学部で学んだ知識は、そのままでは実際の診療に生かしきれません。患者さんから話を聞き、診察をして、検査の結果を読み、治療の方針を考える。そうした一連の流れを、指導にあたる医師のもとで実際に経験することで、はじめて身についていきます。

研修期間中は、内科や救急など、いくつもの診療科を順に回りながら経験を積むのが一般的です。専門に進む前にさまざまな分野を経験しておくことは、将来どの分野に進んだとしても、患者さんの全体を見る視点を養ううえで役立ちます。また、看護師や薬剤師などほかの職種と協力して働く経験を通じて、チーム医療の一員としての姿勢も学んでいきます。

研修先の選び方

研修をどの病院で受けるかは、医学生にとって大きな選択です。厚生労働省のページにマッチングの結果が掲載されているように、研修先は、医学生の希望と病院の募集とを組み合わせる仕組みによって決まります。医学生は、病院の見学や説明会に参加したり、先輩の話を聞いたりしながら、自分に合った研修先を探します。

選ぶときには、どのような診療科を経験できるか、指導の体制はどうなっているか、症例の数や種類、救急の経験を積めるかどうか、そして研修医どうしや職員の雰囲気などを総合的に考えることになります。大学病院で研修を受ける道もあれば、地域の中核となる病院で研修を受ける道もあり、それぞれに特徴があります。

医局との関係

臨床研修を終えたあと、多くの医師は専門分野を選んで、さらに経験を積んでいきます。その際にかかわってくることがあるのが医局です。ウィキペディア日本語版の「医局」の項目では、医局は、大学病院の診療科ごとに教授を頂点とした人事組織を指し、大学医学部の教員や医員、大学院生、研修医、関連病院の医師などを主な構成員とすることが多いと説明されています。

研修の制度が整えられる以前は、医学部を卒業した医師の多くが出身大学の医局に入り、そこで研修を受けるのが一般的でした。新しい制度では、研修先を幅広く選べるようになり、医師のキャリアの選択肢が広がったといわれます。一方で、専門分野を深める段階では、医局に所属して研鑽を積む医師も今なお少なくありません。

研修を支える人たち

臨床研修は、研修医ひとりの努力だけで成り立つものではありません。研修医に直接指導する医師、研修の全体を管理する責任者、そして日々の診療の中で研修医と一緒に働く看護師や薬剤師、検査や事務のスタッフなど、多くの人が研修を支えています。研修病院には、研修の計画を立て、研修医の到達状況を確かめる仕組みが設けられています。

研修医にとって、ほかの職種のスタッフから学ぶことは少なくありません。経験豊かな看護師の観察や助言、薬剤師からの薬に関する指摘などは、教科書では学べない現場の知恵です。職種を越えて学び合う姿勢は、研修の期間を終えたあとも、医師として働くうえでの大切な財産になります。

研修医として働くということ

研修医は、学ぶ立場であると同時に、医療の現場で働く一員でもあります。はじめての経験の連続で、覚えることも多く、忙しい毎日になりがちです。わからないことをそのままにせず、指導医や先輩、ほかの職種のスタッフに相談できることが、安全な診療と自分の成長の両方にとって大切です。

医師の長時間労働を見直す動きは、研修医の働き方にもかかわっています。学びの機会を確保しながら、心身の健康を保って研修を続けられる環境づくりが求められています。制度の考え方は医師の働き方改革で紹介しています。医師という仕事全体については医師という仕事をご覧ください。