仕事を知る|医師・歯科
医師という仕事
病気やけがを診て、予防や健康づくりにもかかわる医師。ここでは、医師がどのような資格にもとづいて働き、どんな道筋をたどって一人前になっていくのかを、制度の側から順に見ていきます。

医師は何をする人か
医師の仕事と聞くと、診察室で患者さんの話を聞き、診断をして治療方針を決める姿を思い浮かべる人が多いでしょう。もちろんそれは仕事の中心ですが、医師の役割はそれだけではありません。病気を未然に防ぐための健康診断や保健指導、地域の公衆衛生を支える仕事、医学研究や後進の教育、行政の立場から医療の仕組みを整える仕事など、医師免許をもつ人が活躍する場面は想像以上に広がっています。
ウィキペディア日本語版の「医師」の項目では、医師は医療と保健指導をつかさどる医療従事者であり、医学にもとづく傷病の予防、診療、そして公衆衛生の普及を責務とする職業だと説明されています。診ること、防ぐこと、社会全体の健康に目を配ることの三つが、医師という職業の輪郭をかたちづくっているといえます。
また、同じ項目では、日本で医師の資格を定める根拠となっている法律が医師法であり、医師でなければ医業をしてはならないと定められていることも紹介されています。医業は資格をもつ人にだけ許された行為であり、その重さが、長い養成課程や国家試験、卒業後の研修といった仕組みの背景にあります。
免許を得るまでの道のり
日本で医師になるには、大学の医学部(医学科)で医学を学び、卒業後に医師国家試験に合格して、医師免許を受ける必要があります。医学部の課程では、人体の構造や機能を学ぶ基礎医学から始まり、病気の成り立ちや診断・治療の考え方を学ぶ臨床医学へと進み、学年が上がると病院での臨床実習を通じて、実際の医療現場の流れを体験します。
医師国家試験は国が実施する試験です。厚生労働省のウェブサイトには医師国家試験の施行についてのお知らせが掲載されており、試験が医師法の規定にもとづいて施行されることが示されています。受験を考える人は、試験地や日程、受験資格といった具体的な事項を、必ずこうした公式の告知で確認するようにしましょう。
臨床研修と医局
免許を取ったらすぐに一人で診療を担う、というわけではありません。日本では、診療に従事しようとする医師に、大学病院や国が指定した病院などでの臨床研修が義務づけられています。厚生労働省の医師臨床研修制度のページでは、この新しい臨床研修制度が平成16年4月から必修化されたものだと紹介されています。研修の中身や意義については、医師の臨床研修制度のページで詳しく取り上げています。
研修を終えた医師は、内科や外科、小児科といった専門分野を選び、さらに経験を積んでいきます。このとき、多くの医師のキャリアに関係してきたのが「医局」です。医局とは、もともとは医師の執務室や控室を指す言葉ですが、転じて大学病院の診療科ごとに教授を頂点とする人事組織を意味するようになりました。医局は、所属する医師の関連病院への派遣や、研究・学位取得の指導などにかかわってきた組織で、医師の勤務先や異動に大きな影響を持つことがあります。
医局に所属するかどうか、どの程度かかわるかは、医師個人の考え方や専門分野、地域の事情によってさまざまです。所属することで研究や専門的な研鑽の機会を得やすい面がある一方、勤務先を自分で選びたいと考える医師もいます。どちらが正しいということではなく、自分がどんな医師になりたいかを考えるための材料として、医局という仕組みを知っておくとよいでしょう。
さまざまな働き方
医師の働き方は、ひとつの病院や診療所に常勤として勤める形が基本です。そのうえで、ほかの医療機関で週に何日か外来を担当したり、健診や当直だけを引き受けたりする非常勤の働き方も広く見られます。非常勤という言葉の意味や、医師がなぜ複数の勤務先をもつことがあるのかについては、医師の非常勤・スポット勤務とはで整理しています。
また、自ら診療所を開設する開業医、研究所や製薬の分野で働く医師、行政機関で保健医療の政策にかかわる医師など、臨床以外の道を選ぶ人もいます。出産や子育て、介護といったライフイベントに合わせて勤務の形を変える医師も少なくありません。そうしたキャリアの考え方は女性医師のキャリアと働き方でも触れています。
長時間労働と向き合う
医師の仕事は、夜間や休日の急患対応、当直、手術の延長など、どうしても勤務時間が長くなりやすい性質をもっています。医師自身の健康を守ることは、医療の安全と質を守ることにも直結します。こうした問題意識から、国は医師の時間外労働に上限を設けるなどの「医師の働き方改革」を進めています。制度の考え方は医師の働き方改革のページで紹介しています。
医師をめざす人へ
医師になるまでには長い時間がかかり、なってからも学び続けることが求められます。そのぶん、人の生命と生活に深くかかわる、責任とやりがいの大きな仕事です。進路を考えるときは、医学部での学び、国家試験、臨床研修、専門分野の選択という流れを一度頭に入れておくと、先の見通しが立てやすくなります。医療や介護の資格の全体像は医療・介護の国家資格と国家試験で一覧にしています。