医療・介護しごと図鑑医療と介護の仕事と制度を、やさしく解説する独立したガイド

仕事を知る|薬剤師

薬剤師という仕事

処方箋を受け取って薬を用意する人、というイメージが強い薬剤師。けれども実際の仕事はもっと幅が広く、薬の安全な使い方を支える専門家として、病院や薬局、地域のさまざまな場面で役割を担っています。

明るい窓辺の木のカウンターに置かれた白い乳鉢と乳棒、ラベルのない琥珀色のガラス瓶

薬剤師の役割

ウィキペディア日本語版の「薬剤師」の項目では、薬剤師は調剤、医薬品の供給、その他の薬事衛生をつかさどる医療従事者であると説明されています。同じ項目によれば、日本の薬剤師法は、薬剤師がこうした仕事を通じて公衆衛生の向上と増進に寄与し、国民の健康な生活を確保するものと定めています。

薬剤師の仕事の中心にあるのは、医師が作成した処方箋にもとづいて薬を調剤し、患者さんに渡すことです。ただし、ただ薬をそろえるだけではありません。処方の内容に疑問があれば医師に問い合わせて確認し、ほかに使っている薬との飲み合わせや重複がないかを確かめ、薬の使い方や注意点をわかりやすく説明します。薬が安全に、正しく使われるための最後の確認役ともいえる存在です。

また、同じ項目では、一般用医薬品から医療用医薬品までを扱えるのが薬剤師であることにも触れられています。地域の人が体調について気軽に相談できる身近な専門家としての役割も、薬剤師の大切な仕事のひとつです。

働く場所による違い

ウィキペディア日本語版の同じ項目では、薬剤師の多くは一般の薬局と病院で働いていると説明されています。働く場所によって、仕事の中身はかなり違ってきます。

保険薬局

街の中で処方箋を受け付ける薬局の多くは、保険薬局と呼ばれる薬局です。ここでは、さまざまな医療機関から出された処方箋を受け付けて調剤し、患者さんへの説明や服薬の記録の管理を行います。複数の医療機関にかかっている人の薬をまとめて把握できるのは、薬局ならではの強みです。保険薬局の仕組みについては医薬分業と保険薬局のページで詳しく説明しています。

病院

病院で働く薬剤師は、入院患者さんの薬の調剤や注射薬の準備、薬の管理を担うほか、医師や看護師とともにチームで治療に加わります。病棟で患者さんの薬の使い方を確認したり、医療スタッフに薬の情報を提供したりする仕事も重要です。同じ項目では、病院などで医師の指示のもとで働く薬剤師には、チーム医療を担うコ・メディカルとしての側面もあることが紹介されています。

そのほかの場

このほか、一般用医薬品を扱う店舗、製薬の分野での研究や品質管理、医薬品の情報提供、行政機関での薬事の仕事、学校で薬品や環境衛生を確認する仕事など、薬剤師の知識が生かされる場は多岐にわたります。

薬剤師になるまで

薬剤師になるには、大学の薬学部で学び、薬剤師国家試験に合格して免許を受ける必要があります。ウィキペディア日本語版の「薬学部」の項目によれば、薬学部には薬剤師国家試験の受験資格が与えられる六年制の薬学科と、受験資格が与えられない四年制の薬科学科があり、六年制課程は2006年から設置が始まったと説明されています。六年制課程では、病院や薬局での長期の実務実習が必修とされており、臨床の現場で役立つ実践的な力を養うことが重視されています。

薬剤師国家試験は国が実施する試験で、厚生労働省のウェブサイトには薬剤師国家試験の案内が掲載されています。試験の日程や受験の手続きといった具体的な事項は、必ずこうした公式の告知で確認してください。

チームの中の薬剤師

病院でも地域でも、医療は多くの職種の協力で成り立っています。薬剤師は、その中で「薬について最もよく知る専門職」として意見を求められる立場にあります。たとえば病棟では、医師が処方を考える際に薬の性質や投与の方法について情報を提供したり、看護師が薬を準備するときの注意点を伝えたりします。薬局では、処方箋を出した医療機関と連絡を取り合い、患者さんの状態に合わせた確認を行います。

こうした連携の場面では、専門知識だけでなく、相手に伝わる言葉で説明する力や、疑問を感じたときにきちんと確認する姿勢が求められます。処方の内容に疑問があれば、処方した医師に問い合わせて確認する「疑義照会」は、薬剤師の大切な仕事のひとつです。遠慮せずに確認できる関係を日ごろからつくっておくことが、患者さんの安全につながります。

薬剤師に求められる力

薬剤師の仕事には、薬理学や製剤学といった薬の専門知識に加えて、正確さと根気強さが欠かせません。調剤の一つひとつに間違いがないかを確かめる作業は地道ですが、わずかな見落としが大きな影響につながりうるからこそ、丁寧さが何より大切にされます。

また、患者さんと話す機会が多い薬剤師には、相手の話をよく聞く力も求められます。薬の飲み忘れや飲みにくさ、生活の中での困りごとなど、患者さんが自分からは言い出しにくいことに気づけるかどうかで、支え方は大きく変わります。新しい薬や制度の情報は次々に更新されるため、免許を取ったあとも学び続ける姿勢が必要な仕事です。

これからの薬剤師像

薬剤師の仕事は、薬を「渡す」ことから、薬が患者さんの暮らしの中で適切に使われているかを「見守る」ことへと重心を移しつつあります。自宅で療養する人のもとを訪ねて薬の管理を手伝う在宅での仕事や、医療と介護の連携の中で薬の情報をつなぐ役割も注目されています。

これから薬剤師をめざす人、薬学部で学んでいる人は、どんな場所でどんな患者さんと向き合いたいのかを考えながら、実務実習などの機会に複数の職場を見ておくとよいでしょう。就職活動の進め方の基本は薬学生のための就職活動の基礎で紹介しています。