制度を知る
医療・介護の国家資格と国家試験
医療と介護の仕事の多くは、法律で定められた資格にもとづいて行われます。どの職種がどんな資格を必要とし、その試験や免許はどこが担っているのか。全体像を一覧で整理します。
資格が求められる理由
医療や介護の仕事は、人の命や健康、暮らしに直接かかわります。そのため、多くの職種では、一定の教育を受け、試験によって知識と技能を確かめられた人だけが、その仕事を行ったり、その名称を名乗ったりできるように法律で定められています。
資格には、大きく分けて二つの性格があります。ひとつは、資格をもつ人でなければその業務を行えない「業務独占」、もうひとつは、資格をもつ人でなければその名称を名乗れない「名称独占」です。たとえば医師の医業は業務独占にあたり、介護福祉士は名称独占の資格です。どちらの性格をもつかは、資格ごとの法律で決められています。
資格を得るまでの基本的な流れ
職種によって細かな違いはありますが、医療や介護の国家資格を得るまでには、おおむね次のような流れをたどります。
まず、国や都道府県が指定した大学や養成校などで、定められた教育課程を修めます。そのうえで国家試験などに合格し、免許を受けたり登録したりすることで、はじめてその資格をもつ人として働けるようになります。医師や歯科医師のように、免許を受けたあとの臨床研修が法律で求められている職種もあります。
主な資格の一覧
下の表は、このサイトで取り上げている主な職種の資格を、それぞれの解説ページで紹介している内容にもとづいてまとめたものです。
| 職種 | 資格の種類 | 試験・免許について | 解説 |
|---|---|---|---|
| 医師 | 国家資格(医師法) | 医師国家試験に合格し、免許を受ける | 医師 |
| 歯科医師 | 国家資格(歯科医師法) | 歯科医師国家試験に合格し、免許を受ける | 歯科 |
| 薬剤師 | 国家資格(薬剤師法) | 六年制課程を経て薬剤師国家試験に合格し、免許を受ける | 薬剤師 |
| 看護師 | 国家資格(保健師助産師看護師法) | 看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける | 看護師 |
| 准看護師 | 都道府県知事の免許(同法) | 都道府県知事が行う試験に合格し、免許を受ける | 看護師 |
| 介護福祉士 | 国家資格(社会福祉士及び介護福祉士法)・名称独占 | 社会福祉振興・試験センターが国家試験を実施 | 介護職 |
| 介護支援専門員 | 介護保険法にもとづく資格 | 都道府県が実施する試験に合格し、研修を修了する | 介護の職場 |
| 歯科衛生士 | 国家資格(歯科衛生士法) | 厚生労働大臣の免許を受ける | 歯科 |
| 歯科技工士 | 国家資格 | 定められた試験に合格し、免許を受ける | 歯科 |
| 理学療法士・作業療法士 | 国家資格(理学療法士及び作業療法士法) | 国家試験に合格し、免許を受ける | PT・OT |
| 言語聴覚士 | 国家資格(言語聴覚士法)・名称独占 | 国家試験に合格し、免許を受ける | コメディカル |
| 臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士 | 国家資格 | 厚生労働大臣の免許を受ける | コメディカル |
| MR(医薬情報担当者) | 法律上の必須資格はない | 業界の自主的な認定試験がある | MR |
| 治験コーディネーター | 法律上の必須資格はない | 医療系の資格をもつ人が多い | 治験 |
国家試験の公式情報
国家試験の日程や受験資格、試験地などの具体的な事項は、年ごとに告知されます。必ず試験を実施する機関の公式な案内で確認してください。たとえば、厚生労働省のウェブサイトには医師国家試験の施行についてや薬剤師国家試験の案内が掲載されており、医師国家試験が医師法の規定にもとづいて施行されることなどが示されています。
介護福祉士国家試験は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが実施しています。同センターの介護福祉士国家試験のページには、試験のお知らせのほか、資格制度の概要や、受験資格を得るための道筋を示した資格取得ルート図、過去の試験問題などへの案内がまとめられています。
受験資格の考え方
国家試験は、誰でも受けられるわけではありません。多くの資格では、指定された学校で定められた教育を修めたことが受験の条件になっています。薬剤師のように六年制の課程を修めることが条件の資格もあれば、介護福祉士のように、養成施設で学ぶ道、福祉系の高校で学ぶ道、実務経験を積んで研修を修了する道など、いくつかの道筋が用意されている資格もあります。自分がどの道筋にあたるのかを早めに確認しておくことが、準備の第一歩です。
資格を取ったあとも
資格を得ることは、医療や介護の仕事のゴールではなく、スタートです。医療の知識や技術、制度は変わり続けるため、資格を取ったあとも学び続けることが求められます。多くの職種には、経験を積んだ人がより専門的な力を身につけるための認定の仕組みや研修があります。看護師の認定看護師や専門看護師、介護福祉士からケアマネジャーへの道などは、その一例です。
これから医療や介護の仕事をめざす人は、自分が興味をもった職種の資格が、どのような教育と試験を経て得られるのかを早めに確かめておくと、進路の計画が立てやすくなります。それぞれの仕事の内容は、表の中の解説ページから読むことができます。