仕事を知る|リハビリ・コメディカル・治験
理学療法士(PT)という仕事
起き上がる、座る、立ち上がる、歩く。多くの人が毎日当たり前のように行っている基本的な動作に着目し、運動や物理的な手段を用いて支えるのが理学療法士です。英語の略称から「PT」とも呼ばれます。

理学療法士とは
ウィキペディア日本語版の「理学療法士」の項目では、理学療法士は理学療法士及び作業療法士法にもとづく国家資格であり、リハビリテーションのチームを構成する医療従事者の一員であると説明されています。
同じ項目では、この法律の定義として、理学療法とは、身体に障害のある人に対して、主としてその基本的な動作の能力に働きかけるため、体操などの運動を行ってもらったり、電気刺激やマッサージ、温熱などの物理的な手段を加えたりすることをいう、と紹介されています。理学療法士は、医師の指示のもとで、こうした理学療法を行う専門職です。
ここでいう「基本的な動作」とは、寝返りを打つ、起き上がる、座る、立ち上がる、歩くといった、生活の土台になる動きのことです。理学療法士は、からだの動きを専門的な視点から観察して評価し、その人の状態に合わせた運動などの計画を立てて、実際に一緒に取り組みます。
仕事の流れ
理学療法士の仕事は、まず対象となる人の状態を知ることから始まります。関節の動く範囲や筋力、バランス、歩き方などを確かめ、日常生活で何に困っているのか、本人がどんな暮らしを望んでいるのかを聞き取ります。そのうえで、医師やほかの職種と情報を共有しながら、目標と計画を立てます。
計画にもとづいて運動などを行ったら、その結果を記録し、状態の変化に応じて計画を見直していきます。本人の意欲を引き出す声かけや、家族への助言、自宅でできる運動の提案なども大切な仕事です。医療の現場では、ほかの職種と定期的に話し合い、退院に向けた準備を一緒に進めることもあります。
どこで働くのか
理学療法士の職場としてもっとも多いのは病院です。病院の中でも、手術などの治療を受けたあとの早い時期にかかわる部門、じっくりと時間をかけて在宅への準備を進める部門など、かかわる時期によって役割が違います。
病院の外では、介護老人保健施設や通所リハビリテーションといった介護の現場、自宅を訪ねる訪問リハビリテーション、地域の健康づくりの取り組みなど、活躍の場が広がっています。同じ項目では、スポーツの分野など医療・介護以外の場面にもかかわりがあることや、類似した資格をもつほかの職種とのあいだで職域が必ずしも確立していない面があることにも触れられています。
作業療法士(OT)との違い
リハビリの専門職として、理学療法士とよく並べて語られるのが作業療法士(OT)です。どちらも同じ法律にもとづく国家資格で、リハビリテーションのチームの一員として働きますが、主に働きかける対象が異なります。
理学療法士が起き上がりや歩行といった「基本的な動作」に重きを置くのに対し、作業療法士は、食事や着替え、家事、仕事や趣味といった、生活の中の「応用的な動作」や社会への適応に重きを置きます。たとえば、歩けるようになることを支えるのが理学療法士、その先で台所に立って料理をすることを支えるのが作業療法士、というように、ひとりの人の暮らしを役割を分けながら支えています。作業療法士については作業療法士(OT)という仕事で紹介しています。
チームの中での役割
理学療法士は、ひとりで仕事を完結させるわけではありません。病院では、医師の指示を受けて理学療法を行い、看護師とは病棟での過ごし方や移動の方法について情報を共有します。作業療法士や言語聴覚士とは、それぞれの評価を持ち寄って、ひとりの人の全体像をとらえます。退院が近づけば、ソーシャルワーカーやケアマネジャーと、自宅での生活に必要な準備を話し合います。
介護の現場では、介護職に対して、安全な移乗の方法やからだに負担の少ない介助の工夫を伝えることもあります。リハビリの時間だけでなく、日々の生活の場面そのものが大切な時間になるため、周りの職種と協力して、同じ方向を向いて支えることが欠かせません。
理学療法士になるには
理学療法士になるには、国が指定した大学や短期大学、専門学校などの養成課程で学び、国家試験に合格して免許を受ける必要があります。養成課程では、解剖学や生理学、運動学といった基礎的な科目に加えて、評価や運動療法の技術を学び、病院などでの臨床実習を経験します。
受験資格や試験の日程などの具体的な事項は、必ず公式の案内で確認してください。医療と介護の資格の全体像は医療・介護の国家資格と国家試験で整理しています。
理学療法士に向いている人
理学療法士の仕事では、人のからだの仕組みへの興味と、相手のペースに合わせて根気強く向き合う姿勢が大切です。目に見える変化がすぐに現れないこともあるなかで、本人と一緒に小さな目標を立て、積み重ねていくことが求められます。
また、リハビリテーションは本人が主体となって取り組むものです。専門家として計画を立てながらも、本人が何をしたいのか、どんな暮らしに戻りたいのかに耳を傾けることが欠かせません。人の「動く」を支え、その人の暮らしの広がりを一緒に喜べることが、この仕事の大きな魅力です。ほかのリハビリ・検査の専門職はコメディカルの仕事で紹介しています。