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仕事を知る|リハビリ・コメディカル・治験

治験にかかわる仕事

新しい医薬品や医療機器が使えるようになるまでには、人を対象にした試験で安全性や有効性を確かめる段階があります。その試験を正しく、安全に進めるために、さまざまな専門職が働いています。

白い実験台の上のラックに並んだ、色とりどりのふたの空の試験管

治験とは

ウィキペディア日本語版の「治験」の項目では、治験とは、臨床試験のうち、まだ承認されていない医薬品や医療機器、あるいは承認された範囲とは別の使い方について、医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を得るために行われる試験であると説明されています。

新しい薬や医療機器が一般の診療で使えるようになるには、国の承認を受ける必要があります。その審査のための大切な資料になるのが、人を対象にした治験の結果です。治験は、将来の患者さんのために欠かせないものである一方、参加する人に負担やリスクがともなう可能性もあるため、とりわけ厳格なルールのもとで行われます。

なぜルールが必要なのか

治験を行ううえでの基本的なルールが、GCPと呼ばれる基準です。同じ項目では、被験者の安全を守る責任は、治験を依頼する側、治験を行う医療機関の医師、治験審査委員会、規制当局などが分担して担っていること、そして国際的なガイドラインにおいて、治験や臨床試験では被験者の権利、安全、福祉を最優先することが求められていることが説明されています。

ルールの中心にあるのは、参加する人の意思と安全を守ることです。治験に参加するかどうかは、内容について十分な説明を受けたうえで、本人が自由に決めるものです。途中でやめることもできます。また、治験の計画は、医療機関に設けられた治験審査委員会などで、倫理的・科学的に問題がないかを事前に審査されます。得られたデータが正確で信頼できるものであることも、厳しく確認されます。

治験コーディネーター(CRC)

治験を行う医療機関の中で、医師や患者さんを支える専門職が治験コーディネーターです。ウィキペディア日本語版の「治験コーディネーター」の項目では、治験コーディネーター(CRC)は、医療機関で治験や臨床研究が円滑かつ適切に実施されるよう、医師や医療スタッフ、被験者を支援する専門職であると説明されています。

同じ項目によれば、CRCは治験を実施する医療機関に所属する場合と、治験施設支援機関(SMO)などから派遣される場合があり、治験の進行の管理や被験者への対応を行います。具体的には、参加する人への説明の補助、来院の日程の調整、検査の段取り、記録の確認、医師やほかの部署との連絡などを担います。参加する人にとっては、疑問や不安を気軽に相談できる身近な存在でもあります。

CRCには、医療の知識と、治験のルールへの理解、そして人と人をつなぐ調整の力が求められます。看護師や薬剤師、臨床検査技師などの資格をもち、医療の現場で経験を積んだ人が、CRCとして働く例が多く見られます。

モニターの仕事

治験を依頼する側の立場で、治験が計画どおり、ルールに沿って正しく行われているかを確かめる仕事が、モニターと呼ばれる役割です。モニターは、治験を行う医療機関を訪れたり連絡を取り合ったりしながら、記録が正確に残されているか、参加する人の安全への配慮がなされているかなどを確認します。

モニターは、医療機関の外から治験の質を支える仕事です。医療機関の中で支えるCRCとは立場が異なりますが、どちらも「正しく、安全に治験を進める」という同じ目標のもとで協力しています。

治験を支えるそのほかの仕事

治験には、このほかにもさまざまな仕事がかかわっています。医療機関の中で治験の事務や審査委員会の運営を担う人、集まったデータを管理・解析する人、治験で使う薬や機器を適切に管理する人などです。医療機関の薬剤師や看護師、臨床検査技師も、日々の業務の中で治験にかかわることがあります。

治験の流れと各職種の出番

ひとつの治験は、計画づくりから始まり、医療機関での準備、参加する人の募集と説明、実際の試験の実施、データの確認と取りまとめへと進みます。計画の段階では、依頼する側が試験の目的や方法を定め、医療機関では治験審査委員会が内容を審査します。

実施の段階では、医療機関の医師が責任をもって試験を行い、CRCが日々の運営を支え、モニターが記録の正確さやルールの遵守を確かめます。最後に集められたデータは、定められた手順で管理・解析され、承認の審査のための資料としてまとめられます。どの段階でも、参加する人の安全を最優先するという原則は変わりません。

治験の仕事に関心のある人へ

治験の仕事は、目の前の患者さんを直接ケアする仕事とは少し違いますが、新しい医療を安全に社会に届けるという大切な役割を担っています。細かな手順を正確に守る几帳面さと、多くの関係者のあいだに立って調整する柔軟さの両方が求められる仕事です。

医療の資格や経験を生かしながら、別の角度から医療にかかわりたいと考える人にとって、治験は選択肢のひとつになるでしょう。新しい医療技術を安全に使うための国のルールという点では、再生医療のルールと、医療者が知っておきたい基礎もあわせて読んでみてください。