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仕事を知る|リハビリ・コメディカル・治験

作業療法士(OT)という仕事

タオルをたたむ、服のボタンを留める、料理をする、職場に戻る。作業療法士は、暮らしを形づくる一つひとつの「作業」に目を向けて、その人らしい生活を支える専門職です。

木のテーブルの上で白いタオルを丁寧にたたむ両手

「作業」とは何か

作業療法の「作業」という言葉は、工場での作業のような限られた意味ではありません。朝起きて顔を洗うこと、食事をすること、着替えること、掃除や洗濯、買い物、仕事、趣味、人との交流。人が毎日の暮らしの中で行う、意味のある活動のすべてを「作業」と呼んでいます。

ウィキペディア日本語版の「作業療法士」の項目では、作業療法の対象は、身体や精神に障害があり、主として応用的な動作の能力や社会に適応する能力の低下がみられる人だと説明されています。また、作業療法の手段として、作業そのもの、日常生活の動作の訓練、家事などの手段的な日常生活動作の訓練、職業に関連する活動の訓練、住まいの環境への適応の訓練などが挙げられています。

作業療法士の仕事

作業療法士の仕事は、その人がどんな生活を送りたいのかを知ることから始まります。食事を自分で食べたい、家で料理を続けたい、職場に戻りたい、好きな手芸を再開したい。目標は人によってまったく違います。作業療法士は、心身の状態を評価したうえで、その目標に近づくための方法を一緒に考えます。

たとえば、手の動きに合わせて道具の持ち方を工夫したり、使いやすい自助具を提案したり、家の中の動線や段差を見直す助言をしたりします。実際の家事や趣味の活動を練習の場面として取り入れることも多く、「できること」を増やしながら、本人が自信を取り戻していく過程に寄り添います。

こころの領域にもかかわる

作業療法の特徴のひとつは、からだだけでなく、こころの領域にもかかわることです。同じ項目で作業療法の対象として精神の障害が挙げられているように、作業療法士は精神科の医療機関などでも働いています。

そこでは、創作活動や軽い運動、グループでの活動などを通じて、生活のリズムを整えたり、人と関わる力を育んだりすることを支えます。作業を通して自分を表現し、社会の中での役割を取り戻していく過程を支えることも、作業療法士の大切な仕事です。

理学療法士(PT)との違い

作業療法士と理学療法士は、同じ理学療法士及び作業療法士法にもとづく国家資格で、リハビリテーションのチームでは隣り合って働くことの多い職種です。理学療法士が寝返りや起き上がり、歩行といった基本的な動作を中心に支えるのに対し、作業療法士は、その先にある食事や身の回りのこと、家事や仕事などの応用的な動作と、社会への適応を中心に支えます。

ただし、両者の仕事ははっきりと線を引けるものではなく、重なり合う部分も多くあります。ひとりの人の暮らしを支えるために、お互いの専門性を生かして情報を共有し、役割を分け合っているのが実際の姿です。理学療法士については理学療法士(PT)という仕事で紹介しています。

働く場所

作業療法士は、病院のリハビリテーション部門をはじめ、精神科の医療機関、介護老人保健施設や通所・訪問のリハビリテーション、障害のある人が通う支援施設、子どもの発達を支える施設など、幅広い場で働いています。働く場によって、かかわる人の年齢や状態、目標とする生活の姿は大きく異なります。

介護の現場では、介護職と協力して、日々の生活の中で本人ができることを続けられるように工夫する役割も担います。生活に密着した視点をもつ作業療法士の助言は、介護の質を高めるうえでも頼りにされています。

評価と記録の大切さ

作業療法の場面は、料理や手芸、ゲームなど、一見すると日常の活動そのものに見えることがあります。けれども、その背景には専門的な評価と計画があります。作業療法士は、ある活動を行ってもらうときに、どの動きでつまずいているのか、集中はどのくらい続くのか、手順を覚えていられるか、疲れやすさはどうかといった点を細かく観察し、次の計画に生かしています。

観察したことは記録に残し、チームで共有します。本人が望む暮らしの姿と、今の状態とのあいだにあるものを言葉にして示すことで、医師や看護師、介護職、家族が同じ目標に向かって支えられるようになります。目に見えにくい「その人らしさ」をチームに伝える役割も、作業療法士の大切な仕事です。

作業療法士に向いている人

作業療法は、決まった手順をそのまま当てはめれば済むものではありません。同じ病気や障害があっても、大切にしている暮らしは人によって異なるため、その人に合った方法をその都度考える柔軟さが求められます。相手の話にじっくり耳を傾け、小さな変化を一緒に喜べる人に向いている仕事です。

作業療法士になるには

作業療法士になるには、国が指定した養成課程のある大学や専門学校などで学び、国家試験に合格して免許を受けます。同じ項目では、国家資格としての作業療法士が1966年に制定されたことも紹介されています。養成課程では、医学の基礎に加えて、作業療法の評価や技術、臨床実習などを学びます。

人の暮らしそのものに関心があり、一人ひとりに合った方法を柔軟に考えることが好きな人に向いている仕事です。資格の全体像は医療・介護の国家資格と国家試験を、ほかの専門職についてはコメディカルの仕事をご覧ください。