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仕事を知る|看護・介護

訪問看護という働き方

病院ではなく、療養する人が暮らす家へ。訪問看護は、住み慣れた場所での生活を続けたいという思いを、看護の専門性で支える働き方です。

木の引き戸がある住宅の入り口の前に停められた自転車と鉢植えの植物

訪問看護とは

ウィキペディア日本語版の「訪問看護」の項目では、訪問看護とは看護師(准看護師を含む)などが、療養を必要とする人の自宅や老人ホームなどの施設を訪問することだと説明されています。同じ項目によれば、訪問看護は介護保険法や公的な医療保険の各法にもとづいて、訪問看護ステーションや病院・診療所などの医療機関から看護職が訪問する形が一般的です。

訪問看護で行う仕事は、療養する人の状態や希望によってさまざまです。体調の観察や生活上の助言、清潔や排せつの援助、医師の指示にもとづく医療的な処置、服薬の管理の手伝い、リハビリテーションの支援、家族への介護の助言などが含まれます。病院であれば複数の職種で分担している役割を、訪問の場では看護師がその場で判断しながら組み合わせていくことになります。

病棟の看護との違い

病棟で働く看護師は、同じ建物の中に医師やほかの看護師、検査や薬の部門があり、何かあればすぐに相談したり応援を頼んだりできる環境にいます。一方、訪問看護では、基本的にひとりで利用者さんの家を訪れ、限られた時間の中で状態を見極め、必要な対応を判断します。

もうひとつの大きな違いは、看護を行う場所が「その人の暮らしの場」であることです。病院では看護の都合に合わせて環境が整えられていますが、家には一人ひとりの生活習慣や家族との関係、住まいのつくりがあります。その人らしい暮らしを尊重しながら、安全に療養を続けられるよう工夫するのが、訪問看護ならではの視点です。家族の思いや負担にも目を配り、家族を含めて支えていく姿勢が求められます。

こうした違いから、訪問看護には、ある程度の臨床経験を積んでから移る看護師も多くいます。ただし、職場によっては新しく訪問看護に携わる人向けの同行訪問や研修の仕組みを整えているところもあり、関心のある人は教育の体制を確かめておくとよいでしょう。

介護保険・医療保険とのかかわり

訪問看護は、利用する人の状況によって、介護保険と医療保険のどちらかの仕組みで提供されます。ウィキペディア日本語版の同じ項目では、介護保険による訪問看護の場合、利用者はまず要介護認定を受け、その結果にもとづいてケアマネジャーが訪問看護をサービスの計画(ケアプラン)に組み入れる、という流れが説明されています。

つまり、介護保険で訪問看護を利用する場合には、ケアマネジャーが作成するケアプランが出発点になります。訪問看護の看護師は、かかりつけの医師の指示を受けながら、ケアマネジャーやホームヘルパー、リハビリの専門職などと連絡を取り合って支援を進めます。介護保険の基本的な仕組みは介護保険制度のしくみで紹介しています。

地域包括ケアの中で

厚生労働省は、高齢になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制づくりを進めています。厚生労働省の地域包括ケアシステムのページでは、この仕組みが保険者である市町村や都道府県によって、地域の特性に応じてつくり上げていく必要があるものとして説明されています。

訪問看護は、この地域包括ケアの中で、医療と介護をつなぐ役割を担う存在です。病院から自宅に戻る人の退院の調整にかかわったり、自宅で療養する人の状態の変化をかかりつけの医師に伝えたりと、場と場のあいだをつなぐ仕事が多くあります。地域包括ケアの考え方は地域包括ケアシステムとはで詳しく取り上げています。

一日の流れの一例

訪問看護の一日は、事業所での朝の打ち合わせから始まることが多いでしょう。その日に訪問する利用者さんの状態や前回からの変化を確認し、必要な物品を準備して出発します。訪問先では、体調の確認や必要なケアを行い、利用者さんや家族の話を聞きます。一件ごとの訪問時間は限られているため、何を優先するかを見極めながら進めることが大切です。

訪問を終えると、事業所に戻って記録をまとめ、気になる変化があればかかりつけの医師やケアマネジャーに報告します。事業所によっては、夜間や休日に利用者さんからの連絡を受ける当番の体制をとっているところもあります。自宅で療養する人にとって、困ったときに相談できる先があることは大きな安心につながるからです。

訪問看護に向いている人

訪問看護の仕事では、ひとりで判断する場面が多いぶん、落ち着いて状況を観察し、必要に応じて迷わず相談できることが大切です。また、利用者さんや家族との信頼関係を築く力、生活の工夫を一緒に考える柔軟さも求められます。移動には自転車や車を使うことが多く、地域の道や季節の移ろいを感じながら働けるのも、この仕事ならではの一面です。

その人の暮らしの中に入り、長く寄り添いながら支えることにやりがいを感じる人にとって、訪問看護は大きな充実感のある働き方です。看護師という仕事全体については看護師という仕事をご覧ください。