仕事を知る|薬剤師
薬学生のための就職活動の基礎
六年間の学びの終わりに、国家試験と就職先選びが重なる薬学生。忙しい時期だからこそ、就職活動の全体像を早めにつかんでおくと、落ち着いて準備を進められます。

日本の就職活動のかたち
ウィキペディア日本語版の「就職活動」の項目では、就職活動とは職業に就くための活動の総称であると説明されています。同じ項目では、卒業の時期に合わせて一斉に採用活動が行われる「新卒一括採用」は日本に特徴的な仕組みであり、世界的には少数派であることにも触れられています。
薬学生の就職活動も、基本的にはこの日本型の流れの中にあります。情報収集をして、説明会や見学に参加し、応募書類を出して、面接などの選考を受ける。その一方で、薬学生には他学部の学生とは違う事情があります。卒業後すぐに薬剤師として働くためには、国家試験に合格して免許を得る必要があるため、就職活動と国家試験の準備を並行して進めなければならないのです。
国家試験との関係
ウィキペディア日本語版の「薬学部」の項目によれば、薬剤師国家試験の受験資格は六年制課程を卒業した人、または卒業見込みの人に与えられます。つまり、多くの薬学生は、最終学年で卒業に向けた学びと国家試験の準備、そして就職活動を同時に抱えることになります。
採用が決まっていても、国家試験に合格しなければ薬剤師として働き始めることはできません。就職活動に時間をかけすぎて試験の準備がおろそかになると、本末転倒になってしまいます。いつまでに就職先を決めたいのか、試験勉強にどれだけの時間を確保したいのかを、早い段階で自分なりに見通しておくことが大切です。試験の日程や手続きは、厚生労働省の薬剤師国家試験のページで公式に告知されています。
実務実習とインターンシップ
六年制の薬学課程では、病院や薬局での実務実習が必修になっています。実務実習は、職場の雰囲気や仕事の流れを肌で感じられる貴重な機会です。実習先で見たこと、感じたことを記録しておくと、あとで「自分はどんな職場で働きたいのか」を考えるときの大切な材料になります。
これとは別に、企業や医療機関が学生向けに行うインターンシップや職場見学もあります。短い期間でも、実際に働く人の話を聞くことで、パンフレットやウェブサイトだけではわからない職場の姿が見えてきます。参加するときは、何を知りたいのかをあらかじめ考えておくと、得られるものが大きくなります。
職場の種類を知る
薬剤師の働く場所は多様です。地域の保険薬局、病院の薬剤部、一般用医薬品も扱うドラッグストア、製薬の分野、行政機関など、それぞれに仕事の中身や求められる力、働き方が異なります。どこが良い悪いということではなく、自分がどんな薬剤師になりたいかによって向き不向きが変わります。
- 患者さん一人ひとりと向き合い、地域の暮らしを支えたい
- チーム医療の中で、入院治療に深くかかわりたい
- 研究や品質の管理を通じて、薬そのものにかかわりたい
- 行政の立場から、薬の安全を社会全体で守る仕事がしたい
こうした関心を手がかりに、候補となる職場の種類を絞っていくとよいでしょう。それぞれの職場の特徴は薬剤師という仕事で紹介しています。
見学のときに見ておきたいこと
職場見学や説明会に参加するときは、ただ話を聞くだけでなく、自分なりの視点をもっておくと得るものが増えます。たとえば、次のような点に目を向けてみましょう。
- 新しく入った人がどのように仕事を覚えていくのか。教育や研修の仕組みはあるか。
- 薬剤師どうしや、ほかの職種とのあいだで、どのように情報をやりとりしているか。
- 一日の仕事の流れはどうなっているか。忙しい時間帯はいつか。
- 働いている人たちが、自分の仕事についてどのように話しているか。
こうした点は、資料だけでは見えにくいものです。質問の時間があれば、遠慮せずに聞いてみましょう。聞きにくいことを無理に聞く必要はありませんが、自分が働く姿を具体的に思い描けるかどうかは、職場を選ぶうえでの大切な手がかりになります。
情報の集め方
就職に関する情報は、大学のキャリア支援の窓口、学内の掲示や説明会、各職場の公式な案内、先輩の話など、さまざまなところから得られます。情報が多いほど迷いやすくなるため、自分が何を重視するのか、たとえば仕事の内容、教育の体制、勤務地、働き方などに優先順位をつけておくと整理しやすくなります。
インターネット上の評判や口コミは参考になることもありますが、個人の感想であり、時期によって状況が変わっていることもあります。気になることがあれば、見学や説明会の場で直接確かめるのが確実です。
応募書類と面接の準備
応募の際には、多くの場合、履歴書やそれに相当する書類を提出します。書類では、学んできたことや実習で得た経験、その職場を志望する理由を、自分の言葉で具体的に伝えることが大切です。書き方の基本は履歴書の書き方の基本でまとめています。
面接では、書類に書いた内容について掘り下げて聞かれることが多いため、自分の書いたことを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。無理に立派なことを言おうとするよりも、実習での経験や、薬剤師を志した理由を誠実に話すほうが、相手に伝わりやすいものです。
焦らないために
周りの友人の進み具合が気になって焦ってしまうのは、就職活動ではよくあることです。けれども、就職先は人それぞれに合う場所が違います。大学のキャリア支援の窓口や、実習でお世話になった指導薬剤師、先輩などに相談しながら、自分のペースで準備を進めていきましょう。国家試験の準備を大切にしながら、納得のいく選択ができるよう、早めの情報収集を心がけてください。