仕事を知る|リハビリ・コメディカル・治験
MR(医薬情報担当者)という仕事
病院や薬局を訪れ、医師や薬剤師と薬の情報をやりとりする人たちがいます。MRと呼ばれる医薬情報担当者です。医療の現場と、薬をつくる側とをつなぐ仕事の中身を見ていきます。

MRとはどんな仕事か
ウィキペディア日本語版の「医薬情報担当者」の項目では、医薬情報担当者(MR)とは、医薬品の適正な使用のために医療従事者を訪問することなどにより、医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達を主な業務として行う人のことだと説明されています。英語の Medical Representative の頭文字をとって、MRと呼ばれます。
この定義で大切なのは、MRの仕事が「情報」を軸にしている点です。医薬品は、正しく使われてはじめて本来の役割を果たします。どのような場合に使われるのか、使うときに注意すべきことは何か、どのような副作用が報告されているのか。こうした情報を医療関係者に正確に届けることが、MRの仕事の中心にあります。
情報を「届ける」と「集める」
MRの仕事には、二つの方向の情報の流れがあります。ひとつは、薬をつくる側から医療の現場へ情報を届けることです。新しい薬が使えるようになったときや、使用上の注意が改められたときなどに、医師や薬剤師に内容を伝えます。
もうひとつは、医療の現場から情報を集めて、薬をつくる側に伝えることです。実際に薬が使われる中で気づかれたことや、副作用が疑われる事例などの情報は、薬の安全性を確かめ、より適切な使い方を考えるうえで欠かせません。MRは、こうした現場の声を集めて社内の担当部署に伝える役割も担っています。薬の安全は、使う現場とつくる側の情報のやりとりによって支えられているのです。
どこで働くのか
MRの多くは、医薬品を製造・販売する企業に所属しています。このほか、そうした企業から業務を受託して、MRを派遣する形で働く企業もあります。担当する地域や医療機関を受け持ち、病院や診療所、薬局などを訪問して情報のやりとりを行うのが、一般的な仕事のスタイルです。
訪問の相手は、医師だけでなく、薬剤師や看護師などの医療スタッフにも及びます。病院によっては、MRの訪問について独自のルールを設けているところもあり、相手の診療の妨げにならないよう配慮しながら仕事を進める姿勢が求められます。最近では、訪問に加えてオンラインでの説明会や面談など、情報提供のかたちも多様になっています。
MRの認定試験
MRには、医師や薬剤師のような法律で定められた必須の資格はありません。ただし、ウィキペディア日本語版の同じ項目によれば、医療知識の向上と良質なMRの育成のために、1997年に「MR認定試験制度」が導入されました。同じ項目では、この試験は業界の自主的な認定試験であり、国家検定や公的な試験とは一線を画すものであること、そのため医師免許や薬剤師免許とは異なり、MR認定がないと仕事ができないわけではないことも説明されています。
とはいえ、MRの仕事には、薬理学や疾病の知識、関連する法規など、幅広い専門知識が必要です。多くの企業では、入社後の研修などを通じて知識を身につける仕組みを整えています。薬学を学んだ人だけでなく、ほかの分野を学んだ人がMRとして働く例もあります。
MRに求められる姿勢
MRの仕事では、医療関係者から信頼されることが何より大切です。自社の薬について、よい面だけを強調するのではなく、注意すべき点や不確かな点も含めて、正確でかたよりのない情報を届ける誠実さが求められます。医療関係者の質問に対して、根拠をもってわかりやすく答える力も欠かせません。
また、医薬品の情報提供には、法律や業界の自主的なルールによってさまざまな決まりが設けられています。こうした決まりを守りながら仕事を進めることは、患者さんの安全を守ることにもつながります。
一日の仕事のイメージ
MRの一日は、担当する医療機関の状況を確認し、その日に伝えるべき情報を整理するところから始まることが多いでしょう。訪問の約束に合わせて病院や診療所、薬局を回り、医師や薬剤師との面談の中で、情報の提供や質問への回答を行います。面談の時間は限られているため、相手が知りたいことを見極め、要点を簡潔に伝える工夫が求められます。
訪問のあとは、受けた質問や集めた情報を記録し、必要に応じて社内の専門部署に問い合わせて回答を準備します。医療関係者向けの説明会や勉強会の準備をすることもあります。外を回る仕事と、情報を整理する仕事の両方があるのがMRの特徴です。
MRをめざす人へ
MRの仕事は、薬の知識を土台にしながら、人と人とのコミュニケーションを通じて医療に貢献する仕事です。医療関係者と対等に話ができるだけの知識を身につける努力が必要ですが、そのぶん学ぶことの多い、奥の深い仕事でもあります。
医療の中でのMRの位置
MRは、病院や薬局の中で働く医療職ではありませんが、医療の現場と深くかかわる仕事です。薬が安全に使われるための情報の流れを支えるという意味で、医療を外側から支える存在といえるでしょう。薬の情報を扱う仕事としては、医療機関の中で働く薬剤師や、新しい薬の試験にかかわる治験の仕事もあります。関心のある人は、薬剤師という仕事や治験にかかわる仕事もあわせて読んでみてください。